第一回 プレス製造課「向上心と目的意識」

向上心と目的意識

「現場に聴く! 職人インタビュー」では、ホームページだけではお伝えしきれないトウゴクセラミックの製造や生産管理などの情報を、現場へのインタビューを通して皆様にお伝えします。

第一回は、プレス製造課の栗木さんにお話を伺いました。

当社のプレス製造課では、メカプレスや油圧プレスを用い、小型精密部品や大量生産品を製造しています。
アルミナを主力として、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素など様々な材質と多彩な形状を日々製造している当社のプレス製造課から、「現場の声」をお届けします。

転職から2年、全くの別業種からプレス製造のプロへ

――本日はよろしくお願いします。まず、あなたの年齢、役職についてお答えください。

栗木です。よろしくお願いします。45歳。プレス製造課で製造職に就いています。

――この仕事を始めて何年になりますか?

トウゴクセラミックに転職してから2年になります。

――以前はどのようなお仕事を?

他社で生産技術をやっていましたが、職種も何も全く違う所でした。

――では、セラミック業界に携わるのはこれが初めて?

そうですね。今の仕事は、前職とは全く違うものでした。製品の重さや厚み、密度を一定に保つための管理など、製造について覚える事は多かったです。

――あなたの仕事の内容について簡単に説明してください。

この仕事を始めてから2年ではありますのであまり詳しい事は言えないのですが、
一言で言えば「粉状のセラミックの原料を金型に詰め、圧縮して固める」という仕事になります。
それを焼結して製品にするわけですが、その段階で形を一定にする為に密度を安定させる方式を日々測定しながら生産しています。

プレス成形にまつわる職人の努力と技術

――プレス成形をする上で、特に気を付けている事などはありますか?

プレス成形は原料をプレス機の金型に充填して圧縮する事で成形体が作られます。
この後の行程で焼結して収縮する、つまり焼いた後の製品が焼く前と比べてどのくらい小さくなるかは、プレス後の密度によって変化しますので、この充填させた原料の量を一定にする事が同じ製品を安定して作る上で重要になります。

多くの場合は金型の外枠によって成形体の形状は決まっていますので、高さや厚みに気を遣う事が多いです。
例えば、原料の量が多ければ密度が増えてしまい、厚みが伸びてしまうので規格外のもの(不良品)が出来ますし、原料が少なければ逆に小さくなってしまう。
そのようなバラツキを極力無くすように、成形体を日々検査しながら生産しています。

――指定された寸法に合わせるために現場で細かい修正しているという事ですか?

逐一というわけではないですが、重さが少なければ重くするような調整を、厚みが足りなければ厚みを増やすような調整を、一定数量を生産するごとに測定して行っています。それによって密度を一定にするのがプレスの作業員の仕事ですね。

もちろん、金型に充填される原料の量は装置に入力する設定値で決まっているのですが、湿度や温度の関係でどうしても多少前後する事があります。そのための微調整は、良品を作る上で重要ですね。

――その際の微調整のバランス等は経験が重要になってくるわけですね

そうですね。経験もありますが、イメージとしては車を運転する時にスピードメーターをよく見てアクセルの加減を変えるような、注意深さが重要だと思います。

――特に多く生産している材質などはありますか?

それのみ、というわけではないのですが、プレス成形ではアルミナが主力製品となっています。

――測定する道具にはどのようなものを使っていますか?

ノギス・秤・ダイヤルゲージ・マイクロメーターなどですね。大きさと重さの測定はやはり密度を安定させるのに大事なものですから。

プロフェッショナルとしての技術習得

――お話を伺っていると、一言で「プレス成形」と言っても、職人の技術を習得する必要があるように思えます。栗木さんはこの仕事を初めて2年ということですが、この技術はすぐに身に付くものなのでしょうか?

私も最初から上手く行ったわけではありませんでした。

元々、当社トウゴクセラミックでは成形体を作るための調整はプレス製造部の部長が行っています。
それに対して作業員がその設定やセッティングを引き継いでプレス作業を行っていく形です。

最初の調整はほぼ責任者が行っていますが、それを何年か経験して熟練した作業員が習得していくという流れになっています。
残念ながらこの初期設定などの難しい作業を習得している作業員は少ないと言わざるを得ないのが現状です。
私個人の目標としては、今後、このような設定や金型の取り付けなど、より高度な技術を習得していきたいと思っています。

――あなたの一日のスケジュールを簡単に教えてください。

まず、朝礼をしてからプレス作業にはいります。
前日、もしくは朝礼が終わった後に、生産予定を管理している上長から生産予定が伝えられ、終日プレス作業という形になりますので、それを都度、秤や計測器で監視しながらプレス作業を続ける事になります。
ほぼ一日中プレス機に向かっていますね。

――例えば予定が変更されたり、イレギュラーが発生したりするような事もあると思うのですが

予定が変更された場合は、今の製造を止めて、他の製品の製造に移る事になります。プレス機の台数は限られていますので、部長及び課長がプレス機の型を付け替えて、条件を整えた後に我々作業員が引き継ぐ形になります。
また、イレギュラーな成形体が発生した場合は、異常処置書という形で書類を上長に報告する事になります。

――生産管理は体制として整っているという事ですね

そうですね。プレス機の型の付け替え等の高度な作業が出来る人員を増やして行く事が今後の課題だと思います。

――特に仕事で大事にしている判断基準などはありますか?

やはり何をおいても品質保持ですね。
「いいものを安く、早く」が当社のモットーでありますので、それを意識しています。

全ての行程の基礎という責任

――あなたの仕事は商品が出来上がる上でどのような役割ですか?

はっきりと「これ」という事は難しいのですが、例えば、プレス成形の行程で、充填する原料が足りない、または厚みが足りない製品が出来てしまうと、寸法や形状の違う製品が出来てしまいます。
そうするとお客様の条件に見合わない不良品が出来てしまいますので、全ての行程の基礎となる部分を担っているという責任は感じています。

――あなたの仕事は、社会でどんな風に役立っていますか?

どこの部品に使われているか等の具体的な事は守秘義務の関係で作業員には伝えられていないのですが、釣り具のリールガイドに使われているとは聞いています。

――特に密接に関わっている部署や役職はありますか?

プレス成形は最初の行程ですので、悪いものが出来てしまえば以降の行程に不具合を来してしまいます。なので、ほぼ全ての部署に関わっていると言えると思います。
毎日のように他部署の方と顔を合わす機会もありますし、何か問題が発生した時に、逆に上長を通してフィードバックが返って来る事もあります。一番関りがあるのは勿論上長の部長や課長などですが、検査の方ともよく話をしますし、トウゴクセラミックでは、横の繋がりも強いと思いますね。

――あなたの仕事は社内ではどういう立ち位置ですか? また、周囲からどんな風に思われていると思いますか?

トウゴクセラミックでは、製造で「困った事があればこの人に指示を仰ぐ」といったような立場は部長や課長などの役職のある方になっていますし、役職の付いていない社員はほぼ横一線の状態と言えるので、難しいですね……。

周囲の方からは、最初の行程ではありますので、いいものを作っていただきたい、と思われていると思います。

プレス成形のやりがいと、これからの展望

――この仕事をしていて、特に苦労したエピソードがあれば教えてください。

やはり、重さと厚み等の成形条件を上手く使って良品を作るという事に苦労していますね。特に最近では難しい製品が来ているので管理幅が小さくなっていて管理が大変だと感じています。
また、先の話になりますが、部長や課長の担当している仕事を少しでも出来るようにと勉強中なので、そこも今の苦労している所ですね。

――この仕事をしていて良かったと思う事は何ですか?

難しい質問ですねー(笑)
当たり前の事かもしれませんが、トウゴクセラミックは福利厚生にも力を入れている会社ですので、まず仕事があって、給料がもらえて、ちゃんとした生活が出来ている事が良かったですね。

また、良いものが作れた時は他の部署も助かるという点でもやりがいを感じるな、と思います。

とは言え、まだ転職2年目ではありますので、今のところは仕事を覚えるのに必死で、現状の仕事と暮らしが出来て一安心、と言ったところです。(笑)

――これからの仕事の展望について教えてください

個人的な目標としては、先ほど言った通り、部長や課長が担当しているような高度な技術の習得、という事になりますが、もっと大きなプレス成形課の展望としては、社長の方針を抜きに話す事は出来ませんので、難しい所ですね(笑)

社長の方針次第ではありますが、その方針に社員一同で取り組んでいければと思います。
個人的には社長や経営陣の方から、どんどん現場への意見を頂けたらこれからより一層、盛り上がっていくのではと考えています。

――職場の雰囲気はどうですか?

現場の雰囲気は良好ですよ。
横の繋がりも強く、ちゃんと話も出来る職場ですし、上手く行っていると思います。

――ここ数年で仕事の内容に変化があれば教えてください。

まだ入社してから2年目なのであまり大きな変化は言えないですが、製造方法の改善や品質管理の相談をされる事が少しずつ増えて来たのが思い当たる変化ですね。
同部署だけではなく後の製造工程の他部署の方からも相談をされる事があるので、それを課長と逐一相談したりすることが増えました。

――普段仕事をしていて、特に感謝している人や部署、制度などはありますか?

やはり、雇っていただいている社長に感謝していますね。

――最後に、このインタビューを見た方へメッセージがあればお願いします。

社内の雰囲気もいいですし、もし採用を希望している方がいらっしゃいましたら、是非にと思います。
特に若い方の募集をお待ちしております!


今回はプレス製造課の栗木さんにお話を伺いました。

栗木さんの、製造を支える現場の一人として向上心を持ちながら真面目に仕事へ取り組む姿勢は、トウゴクセラミックの製品の品質向上へしっかりと貢献していると思います。
インタビュー中も「いえいえ、まだ自分は2年目ですので……」と謙遜した笑顔を見せていた事が印象的でした。

次回は射出成形部署の上田さんのインタビューを掲載予定です。次回の更新をお楽しみに。

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